ラスト・エンジェル
返信はすぐに返ってきた。こんなときでさえ、メールを打つスピードにびっくりする。

『いいえ。私には何もできずに申し訳ありません。

岡崎さん、私は犬を飼ったこともないから間違っていたらごめんなさい。

でも確か、犬の嗅覚はとても優れていて、おじいさんになった貴方を、見た目でそれが岡崎さんだとすぐにはわからなくても、きっと臭いで気付いてくれるはずですから、心配しなくて大丈夫ですよ。

そういう問題じゃないのかもしれないですけれど…なんだか、うまく言葉にできなくてすみません。

でも確かなのは、しおりちゃんもシオンくんも、優しい岡崎さんが大好きだったと思います。

『ごめんね』ではなく、『ありがとう』を…たくさんの『ありがとう』言ってあげてください。

涙を流してもいいから、優しい顔でいてあげてください。

辛いと思いますが、結衣の代わりはできませんが、いつでもメールしてください。』

まわりにはもうたくさん人がいるのに、涙が出そうになった。

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