私、看護助手ですけど何か?
患者さんと一緒に倒れこもうとした、

その瞬間。

グッと、誰かが患者さんを車いすに

引っ張り、座らせてくれた。


私は助かったと、何度もお礼を言った。


「ありがとうございます、本当に助かりました」

「・・・そんな細い体で、この仕事できんの?」



「・・・え?」

少し怒った表情の男の看護助手の先輩、

進藤さん。

怒るのも当たり前、

ここは病気やけがを直すところであって、

また怪我をさせるところじゃないから。



「出来るようになるまで、

誰かに助けてもらえ・・・いいな?」



「・・・はい、すみません」


「アンタだって怪我してちゃ、

一人前になるまで時間がもっとかかる」


「…進藤さん」

進藤さんの顔は、もう怒ってなくて、

優しい表情だった。
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