僕を見つけてくれてありがとう
追憶
荒い息は鎮まれど、この身の火照りは鎮まらず。音のない部屋の中で、ただ静かに時だけが流れてゆく。

俺はそっと左手を伸ばし、彼女の右手を握りしめる。何か言葉を口にしようとするけれど、この場にふさわしい言葉か見付からない。

いや。言葉はいらない。

今しがたの熱い身の繋がりによって、より深く心が繋がったような気がしている。無理に言葉を繋ぐ必要がない。

おかしなものだが、俺はそんな気がした。



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