僕を見つけてくれてありがとう
握りしめた左手にぐっと力を込めると、それに答えるかのように彼女もそっと握り返してくる。静かに笑みをたずさえながら、呟くように彼女は言った。


「やっと、会えたね、リョウ」


そうか。
俺は納得した。
出逢ってまだ十日ほどしかたっていない、彼女の言葉に。

やはり会っていたんだ。遠い昔に。
俺達が生まれる前に。

前世とか、生まれ変わりとか。
俺は信じちゃいない。けど、そんなことがあってもおかしくないと、俺はその時初めてそう思った。




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