メモリ・ウェブスター
 雀の家は一軒家であり、南向きが激しい二階の一室を自分の部屋としていた。女の子らしいセンスの良い部屋だった。小物が机に並べられ、ベッド、ベッドカバー、掛け布団、枕は、花柄で統一されていた。壁にはボートが貼られ、そこにはクラスメートと撮った写真が角度を変え貼られていた。
 私が異端八丁で狙われる理由は、ほぼない。そう考える。なので狙われる要因は雀だ。そのことを薄々感じ取っているのだろう。彼女は不安がっている。いや、父親の冷然とした態度に悩んでいるのかもしれない。十七歳という年齢は不安と葛藤が交錯する歳頃だ。悩み、迷い、恋もしなければならない。
 多感な時期なの、ババの教え。
 ババも十代は悩んでいたらしいが、その悩み多き故に今では顔には樹齢四千年を経過したかのような年輪という名の皺が刻まれている。
「失礼する」
 私はベッドに腰掛けている雀のこめかみに触れた。記憶を抽出するために。
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