LUCIDO
麗美には付き合いたての彼氏がいる。
一学年10クラスあるし、隣のクラスにもなったことないから顔もあたしは知らないんだけど。
麗美いわく、かっこいいらしい。
自分の彼氏カッコ悪いなんて言わないし、あたしはぶっちゃけ半信半疑。
京香はそういうことに興味がない。
麗美にとっては二人目の彼氏らしく、休日はいろんなところに出かけるらしい。
いいなぁ。
京香の手前、あんまり言わないけど…
あたしは人一倍そーゆーことに興味がある。
手はいつも繋ぐのかな。
どんなところに出かけるんだろう。
電話して、おやすみ、なんて言い合ったりするのかな。
キス…なんかも…きゃー。
あたしの頭の中がピンク色でいっぱいになったところで、妄想終了のチャイムの音。
キーンコーンカーンコーン。
二時間目開始の合図。
麗美と京香と離れて自分の席につく。
そしてまたまたピンク妄想。
キスってどんな感じなんだろう。
カバンから白いポーチを取り出して、鏡を出す。
チューの口ってこんな感じかな?
ちゅー。ちゅー。ちゅっ!
『おい。大崎。』
気づくと柏木にガン見されていた。
は、はずっ!
「ちょっと…なにみてんのよ!////」
『お前のキス顔なんぞ興味ねーよ。早く、当たってる。』
当たって…え?
前も向くと、古典のおっさん教師がニヤニヤしていた。
いっ、いけない!