LUCIDO
麗美は購買でマーカーの試し書きに夢中になっている。
そんなんどれでも一緒でしょうが。
お昼時、パンや飲み物も販売する購買は、人ごみになっている。
そんななか三人で固まってると邪魔だし、暑苦しいから早く帰りたいあたしは、麗美のマーカー選びをいらいらしながら眺めていた。
『こっちのピンクとこっちのピンク、どっちがいいかなー?』
「んー、こっち?」
普段冷めてるくせにこーゆー細かいことにこだわるのが麗美なのだ。
よくいえば几帳面。
悪く言えば…。っと、これはなんか愚痴っぽいので考えるのをやめよう。
『あっ!隼人!』
隼人…って麗美の彼氏?だっけ。たぶん。
『おー麗美!』
声の主を見上げるあたしたち三人。
京香はどーも、と少し会釈をしていつもどおりのポーカーフェース。
麗美は嬉しそうに目をキラキラさせて、
隼人と話している。