Milky Way~壁の乗り越えかた~
「ど、どうして……」

「どうしてって、一応仕事。もうすぐここで撮影があるから、その打ち合わせ」

「そうじゃなくて、どうして今まで顔見せなかったの……」

「まあ、実際仕事が忙しかったし、『一人前になったら』って言った手前、出にくくて」

「馬鹿、そんな約束守り続けなくても……」

まずい、涙が出てきた。

「お取り込み中のところ悪いのですが……」

不意に校長先生の声が聞こえ、わたしは慌てて居住まいを正す。

「鷲尾さんと安曇先生はお知り合いで?」

「ええ、琴音と僕は幼馴染みで、僕が中学卒業して上京するまでご近所さんだったんですよ」

「そうなのか、世界は狭いなあ……」

清水先生が感心したように頷き、松澤先生に至っては口をパクパクさせている。

「貴方が松澤先生ですね?はじめまして、琴音がお世話になってます」

「こ、こちらこそ、は、初めまして……」

握手を求められると、松澤先生はますます緊張していく。
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