Milky Way~壁の乗り越えかた~
「松澤先生は息子の大ファンだそうですね?」

宴もたけなわ、わたしの作った料理もほぼなくなってきた頃、義則の父、八雲さんが松澤先生に声をかけた。

「は、はい……」

いきなり本人の前で、しかもその父親に尋ねられ、松澤先生はすっかり緊張しきっている。

「こういうのを持ってきたんですが、見ますか?」

八雲さんが取り出したのは数冊のアルバム。

中身は大体想像できる。

「父さん、それってもしかして……」

「もちろん、お前が生まれてからの記録だよ」

やっぱり。

義則は、「やめてくれ」と言うように手で顔を覆った。

「それなら、わたしもいいの持ってるよ」

怜央はぱたぱたと部屋を出て行った。

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