Milky Way~壁の乗り越えかた~
とりあえず、店を変えて話を続けることにした。

「3Aの乾恒河(イヌイ コウガ)です」

「見た目遊んでそうだけど、根はいい子なのよ」

松澤先生の言うとおり、やんちゃしそうな見た目だけど悪い印象は受けない。

少し金色を帯びた髪も地毛らしいし。

「安曇先生は、今日会うのが初めてよね?」

「はい」

わたしが受け持っていたのは1年生だから。

「まあ、もし受け持ってても覚えてないわね、この子数学嫌いだから」

「嫌いなわけじゃないよ。雲雀以外からは教わりたくないだけ」

「乾君、先生のことを呼び捨てにしちゃ……」

言いかけてわたしは気づいた。

松澤先生はたしなめる様子を見せず、それどころか顔を赤らめ目を背けている。

義徳を前にしたときとはまた違った表情。

「もしかして、松澤先生……」

「そう、わたしと恒河君は付き合ってるの」

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