Milky Way~壁の乗り越えかた~
出会いは2年前の春。

恒河君がここに入学して、そのときの数学の担任が松澤先生という、ごくありふれたものだった。

「あの頃の恒河君は授業に全く興味がなくて、そのくせ成績は良かったから先生達は手を焼いてたのよ」

元来の性格から、乾君が真面目に授業を受けるよう躍起になり、その姿勢に彼は惹かれたらしい。

それから徐々に距離を縮めていき、交際を始めたのがその年のちょうど今頃。

「軽蔑したかな?自分の担当が生徒とこんな関係で」

「いいえ。確かに驚きはしましたが、責めるつもりはありませんよ」

松澤先生は乾君だからといって特別扱いはしないだろうし、他人の恋愛をとやかく言うほどわたしは狭量ではない。

「それよりもすみません。せっかくのデートに水を差してしまって」

「いいのよ。おかげで喧嘩をやめることができたし、それに安曇先生にも関係があることだから」
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