Milky Way~壁の乗り越えかた~
「義徳は本気で役者になりたいと思ってるの?」

「思ってるよ」

「簡単になれる職業じゃないんだよ……」

「分かってる。だからこそこの機会を逃したくないんだ」

揺らがない視線。決意を内に秘めた言葉。

こういう義徳は梃子でも動かないことを、わたしは知っている。

長い間培ってきた関係は伊達じゃない。

「義徳は、わたしや怜央とそんなに離れたいんだ……」

そして、義徳が離れていくのを平気で許せるほど、浅い関係じゃない。

ずるい言い方をしてでも義徳を引き止めたかった。

「琴音……」

「もう、いいよ!」

振り返らずに、わたしは部屋を飛び出した。

義徳と、ほとんど口をつけていないジュースを残して……
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