Milky Way~壁の乗り越えかた~
「はっ?」

一緒に住むって……

ど、同棲?

「そ、そんな、いきなり……」

「いきなりじゃないよ。琴音の採用が決まってから準備してきた」

義徳の言うとおり、この春からわたしは母校で教鞭をとることになっている。

「琴音が通勤しやすい範囲の物件を、麻田さんにも協力してもらって探してた」

「マネージャーも承諾してるのか!?」

「あっ、言ってなかった?麻田さんは弓削さんの従弟なんだ」

「従弟?」

「そう。だから、俺たちの関係も知ってるよ」

義徳が東京へ行った後も劇団の人達とは交流があったから、弓削さんはわたし達の関係を知っている。

世界は狭いものだ……

「さて、返事は?琴音」

屈託のない笑みを浮かべながら、義徳は言う。

「お前は昔からそうだ。水面下で着々と準備を進めて、答えが分かっててわたしに聞く」

進路を決めたときも、プロポーズのときも……

「わたしが拒否するわけないだろう」
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