Milky Way~壁の乗り越えかた~
「琴音も、義徳君も、落ち着きなさい」

「栄は何も一緒に住むことに反対したわけじゃない。『同棲』はだめだと言ったんだ」

どういうこと?

「こっちだって、琴音を奪われる覚悟くらいできてる」

そう言って、お父さんは背中に隠した封筒から1枚の紙を取り出した。

「これって……」

『婚姻届』と、その紙には書いてあった。

「琴音を守る覚悟があるなら、中途半端なことはやめろ」

「ちなみに、保証人は弓削さんと麻田マネージャーだからな。下手なことはできんぞ」

「麻田マネージャーが?いつの間に……」

「琴音ちゃんの採用が決まってからだよ。こうなることは読めたからね」

「ってことは、俺が相談したとき、既にこの計画は始まってたってわけか。一杯食わされた……」

ホッとしたような悔しいような、そんな表情を義徳は浮かべた。

「お前達も異存はないだろ?」

わたし達2人がうなずいたのは言うまでもない。
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