黒龍





さっきまで
静かに流れていた涙が、

ぽた、ぽたと
大粒に変わり始める。




「私は…

 私はっ、
 いつになったら
 ひとりじゃなくなるのっ…?

 このままじゃ、
 太陽も月もどっか行っちゃうっ。

 
 怖いよっ、
 闇に引き込まれそうでっ…」



ぽたぽたと落ちる涙を
必死に止めようとする。




「太陽も月もどこにも行かない。

 ひとりになんて
 なれないんだ。

 もしお前が、
 太陽にも月にも見捨てられても

 また今日みたいに
 俺がここに来るから。


 次会うときは、
 俺の大事な仲間も連れてくるよ。


 そしたら余計に
 ひとりになるの
 難しくなるだろうなあ…」



そう言って、
優しくその女を抱きしめる。



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