黒龍
「今日は天気が良いから。
この子にも
良いと思って」
そう言って
愛おしそうにお腹をさする。
最近の楓は子供に夢中だ。
不覚にも
俺はそんな様子を見て
妬いてしまう。
「…俺のこと
忘れんなよ」
そう呟くと、
少しだけ目を見開き
「…翔司の方こそ、
この子が生まれたら
あたしのこと
すっぽかすんじゃない?」
微笑みながら
同じように呟く。
意味が分からず、
「…?
んなこと、
あるわけねえよ」
と返すと…