黒龍
仕方なく抱き寄せて
背中をポンポン叩く。
それでも
泣き止まない男の子に、
「お父さんと、お母さんは?」
そもそも、
こんな時間に家に居ないで
大丈夫なのか?と
最初から
疑問に思っていたことを
聞く。
それでも
頭を横に振るだけで
何か言える様子ではなさそうだ。
「よし!
じゃあ、俺ん家来るか?
めちゃくちゃ
優しくて、可愛い
お姉さんが居るぞ!」
と、へへと笑って見せると
やっと顔を上げて
「…いいの?」
と少しだけ笑ってくれた。
「もちろん!
んじゃあ、行くぞ」
と手を引いて家に向かった。