黒龍
電話を切り、
「楓、
これから健の家行って
恭介の服借りてくる!」
とだけ言って
家を出た。
健の家に着くと、
既に健は玄関の前に立っていた。
「健ー!」
軽く手を振ると
こちらに気づいたようで
小走りで俺のところまで
来てくれた。
「はい、これです。
奏多の趣味なので
大分ダサいですが」
と紙袋を渡してくれた。
「わりい、
なるべく早く返すから」
「…それで。
もう生まれたとか
変なこと言いませんよね?」
と健。
ぶはっと笑ってから
「なわけ、
子供拾ったんだ」
「そういうことですか。
まあ、
また何か出来ることがあったら
言って下さい」
「ああ、ありがとう。
それじゃあ」
お礼を言って、
健に手を振る。