黒龍
「もしもし?」
『あ、恭介くん大丈夫?』
大分、焦っているようだ。
「ああ、もう落ち着いた。
これから向かうよ」
『良かったわ。
私、
心配で男子トイレの前に
居るのよ』
と、恥ずかしそうに言う。
そんな楓が可笑しくて、
「はは、すぐ行くよ」
笑って返すと
『うん、待ってるわ』
と、電話を切った。
「楓が、そこで待ってるぞ」
恭介にそう言うと、
「行こ、行こ」
トイレのドアを開く。
そこには言葉通り、
楓の姿が。