黒龍
驚いている楓の手を
さっきと同じように引き
いつもの定位置へ。
「…懐かしいわ。
このブランコ、
何年振りかしら」
そう、ここは公園。
すべてが始まった、
俺たちの原点。
………
「…俺、
本当はちょっとだけ
後悔してるんだ。
まだ若かったあの頃の楓を
麗って存在で
縛ってたこと」
静かに、淡々と話す俺を
真っ直ぐ見つめてくれる楓。
「…あの時もし、
麗ができてなかったら
楓は今ここに居ないのかなとか。
いろいろ考えさせられる。
でも後悔より、
今こうやって楓や恭介、麗と
一緒に暮らせてることが
俺は幸せなんだ」