黒龍
「…そろそろ帰るか。
恭介と麗の待つ、
俺たちの家に」
そう言って楓に手を
差し伸べると
「…今日はありがとう。
3年前に戻ったみたいだったわ」
微笑みながら自分の手を
俺の手に重ねる。
「寂しくなったら
すぐ言えよ。
いつでも俺が
3年前に戻してやる」
にかっと笑って
楓の手を引くと、
「…ありがとう。
でももう3年前に
戻らなくても大丈夫。
私には恭介と麗が居る
今の生活が幸せだから。
でも、
不安になったらまた
今日みたいに抱きしめてくれる?」
そう言った楓の笑顔は、
3年前のあの日に戻ったみたいに
幼かった…。