黒龍





そんな壮樹を見て


本当は天竜組の仕事だって
本当は黒龍の総長で居たいって
本当はみんなが
大切で、大切で仕方ないって


そう言ってしまいたい
衝動に駆られる。





「…っ」





…だけど、
俺が鬼神組に関わることに
なったからには


みんなに被害が出ないとは
言いきれない。

汚い手を使うのが鬼神組だ。




もしも…
もしも俺のせいで
みんなに何かあったら…




そう思うと
どうしても俺は
本当のことを口に出せない。





だから


「ああ、
 何回言えば分かんだよ。


 お前にも、
 わざと負けてやってたんだよ。

 13勝?
 ふざけんな。
 お前との勝負なんて
 やる前から結果は決まってんだよ」




そうさっきと同じように
突き放す。


< 288 / 366 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop