黒龍
要の声に反応し、
こちらに振り向いたのは
「…黒龍の、みんな…」
やっぱり楓ちゃんだった。
「…元気にしてたか?」
俺がそう聞くと、
「…、元気、とは言えないわ」
ふいに悲しそうな顔をする。
その顔を見て、
なんとなく
翔司のことなんだろうと悟る。
確かに、
旦那が鬼神組で
働いているなんて
いろいろ心配とか、
不安とかあるんだろうな。
そんなことを思っていると、
「…どうして翔司を…
翔司を引き止めなかったの?」
意外にもそう呟いたのは
楓ちゃんだった。