季節に触れて



マサヒロッ、


楽しかった。すごく楽しかった。
付き合う前から優しくて、

何があっても笑ってくれて…

楽しかった。

マサヒロのその手があたしに触れて、

頭を撫でて、

彼氏彼女の関係になって

手を繋いで。


まだまだ子どもなあたしに

いつも合わせてくれて…


楽しかった。

すごくすごく楽しかった。

お姉ちゃんの友達の中に混じって遊んでる時も

ちゃんとあたしを見ていて

構ってくれて、

楽しかった。


マサヒロもあの頃は楽しそうに笑ってた。






ああ…もう無理なんだな、

もう、駄目なんだな…



マサヒロの後姿が滲んで、だんだん離れていく。


ダメだ、涙が溢れて


溢れて止まらない


泣くことしか出来なくて
泣いてるばかりで、



マサヒロだからこんなに涙が出るんだよ

マサヒロだからこんなに泣くんだよ…


カラオケ屋を出て行く姿に声かける。


マサヒロ、

あたしね、マサヒロと一緒にいれて







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