季節に触れて



もぅ…無理なのかなぁ?

マサヒロ…?


道端なのを忘れてぺたんと座り込み一人泣き続けた。



「あおっ!!!」


あたしを呼ぶ声がして、


「お、ねえっ…ちゃん…」

「あおっ…あお、ごめんね?あお…」


お姉ちゃんは冷たくなったあたしの身体を優しく抱いた。


お姉ちゃんは温かくて余計に涙が止まらなくてなった。




「家に帰ったら、凄かったしおばあちゃんも何も言わないから探した」


人は殴らなかったものの、マサヒロは物に当たったから家の中は凄い状態だったのだろう。


「ま、まさ…ひろがっ…」

「マサヒロはタッくんが探しに行った」


「うっ…ぐすっ…」



タッくんはお姉ちゃんの彼氏だ。
お姉ちゃんたちにも迷惑かけてしまってる…


「あおー?ごめんね、私がマサヒロなんかと会わせたりしたから…」

「な、なんっで…お姉ちゃんが謝る、のぉ?あ、あたしがっ…ぐすっ」


溢れてくる涙は全く止まらなくてお姉ちゃんの肩を濡らしてく。


マサヒロはお姉ちゃんの友達だった。
高2のマサヒロと中2のあたしが出会うにはなかなか難しい。

お姉ちゃんの友達だったからマサヒロと出会えたんだ。

たまに遊びにくるマサヒロをあたしは意識するようになって…


年下なんか相手にされるはずがないとおもったけど、マサヒロは優しかった。



「あ、あたし…っ…ま、まさ…ひろがっ」

「あおっ、もうマサヒロのことは忘れて?あんな奴のことなんかっ」


「お姉ちゃん!!あたしは、あたしは…」


優しくて幸せだったマサヒロとの事を思い出すと言葉が詰まって、胸が苦しくなる。




< 4 / 16 >

この作品をシェア

pagetop