季節に触れて



また、電話がなって。


お姉ちゃんが出た。


今度はさっきと違って聞こえる、

向こう側の声があたしの耳にまで聞こえた。


怒鳴り声、ガシャンガシャンと何かが崩れる音…騒がしかった。



「あお、マサヒロがいろんな人に殴られてるって…」


苦しそうな顔をしながらあたしを見てお姉ちゃんはそう言った。


飲み会にいる全員がマサヒロとあたしの事でマサヒロに腹を立てていた。

お酒の力も入ってたのかも知れない、お母さんたちがみんな、マサヒロを…ッ!


「マサヒロッ!!!マサヒロってばぁ!!」


お姉ちゃんからケータイを奪って、何度もマサヒロの名前をよぶ。

劈くような声だった。

あたしはこんな事、望んでない!望んで無いのにッ!!


「やめてッ!!!やめてよッ!!マサヒロは悪く無いッ!!!やめてッ!!」


必死に泣き叫び崩れるあたし。


マサヒロの唸り声が聞こえた。


「マサヒローーーーーッ!!!」


やだやだ、やだ!!やめて!!


「やめてよッ!!!やめてッ!!もうやめてッ!!」


壊さないで…

ねぇ、なんで分からないの?

みんな、やめてよぉ…っ


マサヒロが好きなのにッ。








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