【完】キセキ~君に恋した時間~
だから背の順じゃ大抵一番後ろだ。
「……徹、鼻血出てるけど」
改めて見てもやっぱりすごい美人だなあ
、この子。なんて思いながらボーッとし
ていたら、その子にそう言われて。
鼻を押さえていた手を見れば、真っ赤に
染まっていた。
……誰のせいだと思って……。
はあ、と心の中でため息をついてから、
「すいません」と言って彼女の横をすり
抜け。
家に入ればやっぱりそこは俺の家だった
。
俺はそのまま靴を脱ぎ捨て、流し台に向
かうと、蛇口を捻り水を出した。
それから、鼻を中心に顔を洗っていると
……
「ねぇ」
いつの間にか、壁に寄りかかるようにし
て彼女が立っていた。
腕を組ながら、怪訝そうにじろじろと俺
を見回して。