【完】キセキ~君に恋した時間~
だって、辛すぎる。
俺が苦しいと思ってたのなんて、すごく
ちっぽけだと思った。きっと俺が美海と
同じ目に合っていたら、もっと根暗な奴
になってたと思う。
ただ、だからと言って、あの日の光景を
、忘れたりは出来ないけれど。
「すごい辛かった。だってそれまで優し
くて、大好きだったんだもん。それにま
だ、幼児だよ?……耐えられないよ。
辛くなるたび、痛くなるほど、私はそれ
を隠すように性格がひしゃげていったよ
。今じゃこんな可愛くない性格だもん」
ウンウン、と頷いたら、睨まれた。……
自分で言ったくせに!
「それに、何回か殴られたことも、ある
んだ」
「!」
「それはほんと、少しだけど。この前東
京に来たのだってね、自分のことを博人
さんとかあんたに知らされるのが怖かっ
たんだよ。ただ、それだけ」
そうか……。
だからか。ほんとに心配しているような
目ではなかったのは。