【完】キセキ~君に恋した時間~
俺よりも辛かったのに。
俺よりも苦しかったのに。
───俺よりも、強い。
ただ自分の"幸せ"に直向きなその姿が、
苦しいくらいに羨ましくて、だけどすご
く目を逸らしたくなる。
自分の弱さが浮き彫りになるから。
お前は弱い、って言われてるみたいだか
ら。被害妄想だなんて理解してても、そ
れでも苦しい。
こんなに弱い自分が、美海にしてあげら
れることなんてない。美海を救いたいな
んてそんなの戯れ言だ。
救ってほしいのは、俺のクセに───。
俺はえもいわれぬモヤモヤを胸に抱えな
がら、その日を終えた。
───翌日。
部活に行くと、何故か磯部と峯本が、俺
を睨み付けるように仁王立ちになり、立
ちはだかっていた。
え、なに。何事。