【完】キセキ~君に恋した時間~
第7話 初雪と微笑み
季節が過ぎ去り、いつしか吐く息が白く
曇る季節。
この時期になれば、普通は受験勉強をす
るんだろうけど、基準点を満たせるなら
、特に必要はない。
必要はない───ハズなんだけど。
「だからここは、受け身の表現だから…
…あ、あとここは過去形ね」
どうやら俺には、基準点に満たしそうに
ないというピンチが迫っているらしい。
「……ーっ!!もー、無理です!」
俺はついに我慢の限界が来たために、シ
ャーペンを机に叩きつけて、立ち上がっ
た。
そんな俺を、栄生君が困ったように見上
げる。
「……でも、こことりあえずクリアしな
いと部活にも行けないよ?」
「いや!もう俺のことはいいから、行こ
う、栄生君!」
机の横にかけておいたバッシュの袋を掴
み、栄生君にそう言う。