【完】キセキ~君に恋した時間~
───しかし。
「おっと。……どこに行くつもりなのか
なぁ?岡田」
ぐい、と首根っこを引っ張られたかと思
えば、すぐ横に、真っ黒い笑顔を浮かべ
た英語の教師のまっつんが立っていた。
「まま、松田先生……」
「このプリントは今日提出って、言った
だろ?」
「すすす、すいません」
そう言った瞬間、強引に椅子に座らされ
た。
「やれ。」
……どうやら少し、逃げるのが遅かった
らしい。
仕方なく、放り出したシャーペンをもう
一度にぎり、アルファベットの並ぶプリ
ントを見つめる。
そんな俺に苦笑いを浮かべながら、栄生
君も、そこに居てくれた。
「俺も手伝うから」