【完】キセキ~君に恋した時間~
ハッ、と鼻で笑う美海。
あの頃の……というか今でも虫は大の苦
手で、それに引き換え、美海は余裕でゴ
キブリまでをも触って。
そんな美海のイタズラは最早俺にはイタ
ズラなんてレベルではなく、刑が執行さ
れたかのような気分だった。
「美海は女のくせに男勝りだったんだ」
「ちょっと!私が誰かわかったとたんに
、すごい言い様ねこの貧弱男!」
「ひん……っ!?」
なんだその俺のコンプレックスを見事に
打ち抜いたようなあだ名は!
昔からいつもそうだ。
美海はいつも不躾に相手の(ていうか俺
の)傷口を抉ってくるんだ。
「おま……貧弱男は酷いだろ!」
「だって貧弱でしょ!なんで夏なのにこ
んな白いの!あと痩せすぎ!筋肉なさす
ぎかっこよくない!」
……どうしよう。