【完】キセキ~君に恋した時間~
言い返したいのは山々───というか、
そういうつもりしかないのに、言い返せ
ない。否、言い返せなかった。
だって美海の言ってることは全て、泣き
たいくらいに的を射ていたから。
ぐ、と言葉に詰まった俺を、得意気に見
上げる美海。
「ほらね。言い返せないんでしょ?」
だから嫌なんだ。
いつも人を貶しておいて、それが全て、
合っているんだから余計に質が悪い。
もういいや。ここでいくら反論したとし
ても、どうせ勝ち目は見えてこない。美
海に───というか、誰かと言い合いに
なって勝てた記憶なんて無かった。
まあ、言い合いになんて発展させる勇気
すらもないけど。
「……ていうか、なんで東京に……」
「いまさっき、上京してきたの。新幹線
でね。疲れちゃった」
首をコキコキと鳴らしながらそう言う美
海。