【完】キセキ~君に恋した時間~
あの日、ほんの数十分だけ会えた美海は
やっぱり今では幻影のようで。
ふとした時に、思い出す。
そして、会いたいと、思いを馳せる。
なんで会いたい、とか。会ってどうする
のとか。───そんなのは、わからない
けれど。
ただ、美海に囚われていることだけは、
自分でも理解していた。
今、どこに居るんだろう。
誰と居るんだろう。
何してるのかな。───そんなことを、
延々と考えている。
はぁ、と思わず息を吐き出したとき。
───♪~……
俺と磯部の足音と、磯部の話し声しか聞
こえなかった空間に混じり出した、機械
音。
俺のケータイが着信を知らせていた。