【完】キセキ~君に恋した時間~
誰からだろう、と思いケータイを開けば
、今まで一度も受信されたことのなかっ
たその番号。
それもそうか。だってこの番号を知った
のだって、つい最近の事なのだから。
───"倉科 美海"
サブディスプレイに表示された名前に、
緊張でなのか寒さでなのか、指が震える
のを感じた。
この前会ったときに、交換した番号とア
ドレス。
だけど自分から連絡することもなく、と
いうかそんな勇気もなく。向こうから連
絡が来ることもなかった。
今はもう、岩手に戻っているはずだけど
……。
「───はい」
『……』
通話ボタンを押せば、返ってきたのは沈
黙で。
僅かに、眉を寄せる。