【完】キセキ~君に恋した時間~
頭ん中が、その時の事でいっぱいになっ
て、わけもわからない感情に襲われて、
狂ってしまいそうになるから。
「うああぁ!もーっ!!」
「え!?徹、どうした!?」
いきなり頭をガシガシとかきむしって、
叫んだ俺をビックリしたように見てくる
磯部。
……これじゃ、スキップ磯部よりもイタ
い人じゃん、俺。
ていうか変態か俺はっ!
だけど脳内にこびりついて離れない、甘
くて、溶けるような声。
駄目だ。駄目なんだってば。
「……もーっ…狡い……」
美海はズルいんだよ、ほんと。
「えー今日から高校生だが───……」
入学式の後の、つまらない教師の話を、
右から左へと聞き流しながら、頬杖をつ
く。