【完】キセキ~君に恋した時間~
特に目新しい事があるわけでもない。顔
ぶれだって、中学の頃から変わらないし
。
「……くん…岡田くんっ!」
「へっ!?」
急に横から声をかけられて、ビックリし
てすっとんきょうな声を出すと、俺の隣
の女の子がクスクスと笑っていた。
「ふふ、岡田くん面白いね!ボーッとし
すぎだよー」
「あ、ああ……」
ヤバいヤバい。人見知りスキルが発動し
てしまいそうだ。
ていうかこの子、誰だっけ……。
「あ、私、武野陽子(たけのようこ)!
よろしくねー」
鎖骨に毛先が届くくらいの、サラサラと
した黒髪に、ぱっちりとした二重。
ニコッと笑った表情が、人懐っこそうな
雰囲気を出していて、俺も僅かに微笑ん
だ。
「……岡田徹です。よろしく」