【完】キセキ~君に恋した時間~




そう言われた気がした。



これ以上"こちら側"に踏み込むな。知っ
てあんたに何が出来る。ただの野次馬根
性のくせに、優しいふりをするな。



その一言には、そんな感情がまるで凝縮
されているような。



だからこそ。



「"あの人"と……何かあったの?」



そんな結論、導くまでもなく、容易に目
の前に放り出されたんだ。



俺の問いかけに、居心地が悪そうに、く
い、と眉根を寄せる美海。



それが肯定を表すことくらい、俺でもわ
かったのに───……。



「馬鹿な推測を立てないで。ただ、博人
(ひろと)さんに会いに来ただけ」



と言って、踵を返し、リビングの方へと
戻っていった。



博人さん、というのは俺の父さんのこと
で、岩手に住んでた時は、美海も交えて
、よく、一緒に遊んでいた。





< 16 / 278 >

この作品をシェア

pagetop