【完】キセキ~君に恋した時間~





まだ桜の残る道を、磯部と歩いていると
、急に磯部が俺の肩に腕を回して、そう
言ってきた。



「罪な男?なにそれ。俺、罪なんておか
してないけど」



人を犯罪者に仕立てあげるとか……。



じと、っとした視線を磯部に送れば、磯
部はブンブンと首を振る。



「い~や!お前は罪な男だ!大罪を犯し
ている!」


「なに。大罪って」


「女をたぶらかす所!」



さも当たり前かのようにいい放たれたそ
れに、思わず目を見開く俺。



たぶらかすって……!



「ひ、人聞きの悪いこというなよ!いつ
俺が女の子をたぶらかしたんだよ!てか
、俺なんかにたぶらかされる子なんて、
居ないから」



いるはず、無いし。



だけど今度は、逆に磯部から、じと、っ
とした視線を送られた。




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