【完】キセキ~君に恋した時間~
東京でも有名な進学校の制服を身に纏う
美海に気づき、思わず呆然としたような
声を漏らせば、それを遮ってそう言われ
た。
最近何度か見ていた、あの少し弱ってい
た美海の面影はもうどこにもない。
慌てて鍵を開けて、中に入れると、勝手
知ったるように美海は中へと進んでいき
、ソファーにドサッと腰かけた。
そして、俺を見上げる。
「徹、お茶」
……。
俺はパシリですか、え?と苛立つものの
、勿論反抗だなんて恐ろしいこと、でき
るわけもないので、大人しくキッチンへ
赴く俺。
……俺ってば、ほんといい子だよね。
麦茶をコップに注いで、それを美海の前
に差し出せば、美海がそれを口元へと持
っていった。
白い喉を鳴らしながら、お茶を飲む美海
に何故か見惚れる俺。
意識が、さっきから美海の唇にばかり向
かってしまう。……俺、変態かもしれな
い。