【完】キセキ~君に恋した時間~
昨日の美海を思い出しながら、クス、と
少し口元を緩めた。
「───まあ、少し」
「へぇ?それってどんなことなのー?」
興味津々、と言うように身を乗り出して
くる武野さん。
だけど嫌な感じじゃないのがスゴい。教
えてあげても良いかな、って思えるんだ
よね。
「幼なじみの子が、こっちの高校に無事
に入学できたからさ」
「へー!良かったね!どこの高校?」
「桜庭だよ。スゴいでしょ?」
ほんと、恐ろしいよな、と思いながらそ
う言うと、武野さんの表情が少し曇った
。
「桜庭……って、幼なじみって、女の子
?」
桜庭は女子高だから、そう思ったんだろ
う。
「うん、女」
女の子……って柄じゃ、ないよな。