【完】キセキ~君に恋した時間~
第10話 曖昧──美海side
曖昧。──だからムカつく。
曖昧だから、イライラする。
曖昧なアイツに、イライラする。
何も言わないアイツに、イライラする。
だけど。
強がっちゃって何も言えない自分に一番
、イライラしてるの。
「美海ちゃんじゃあねー!」
「倉科さんバイバーイ」
教材を詰め込んだバッグを肩にかけて、
教室から出ようとすると、何人かの女の
子たちにそう声をかけられた。
それに、ニッコリと微笑む。
「バイバイ。また明日」