【完】キセキ~君に恋した時間~
念願の桜庭高校に入学して早一ヶ月。順
調で充実した高校生活を送っている。─
─と、端からみればそう思うとおもう。
別に順調じゃない訳じゃない。だけど、
充実している毎日なんかじゃない。
仲のいい、特定の女の子は居ない。いわ
ば一匹狼状態の私。
だけど、田舎者の自分と都会人の皆と、
価値観が合わないとかそういうのじゃな
い。
さっきのもそうだけど、人気は割りと高
い方だ。皆、何かあれば私を頼ってくれ
るし、逆も然り、だ。
つまり、故意的に作っていない。
それはきっと、必要性を感じなかったか
らなんだと思う。
人間関係なんて、入り込めば入り込む程
複雑になって、いざこざが増えるものだ
し。そういうの、面倒じゃん?
て、こういうと、まるで一年前の徹みた
いね。
だけど徹とは違う。
あの頃の徹はただ、逃げてただけ。私は
逃げてるんじゃない。本当に、心の底か
ら面倒なだけ。