【完】キセキ~君に恋した時間~
ううん。いつも通りなんかじゃ、ない。
すごく成長して、認めたくないけど、か
っこよくなってて。告白も、されてるみ
たいで。モヤモヤした。
徹のいいとこなんて、私だけ知っていれ
ば良かったのに、と醜い独占欲と共に自
覚した、恋心。
いつから好きだったんだろう。
夏にはもう、きっと完璧に堕ちていた。
徹の優しい所に。なにかといつも気にか
けてくれている、ことが嬉しくて。
きっともう、好きだった。
夏の初めは、筋肉とかも全然なくて、も
やしみたいな男だったくせに、バスケ部
に入ってから随分と逞しくなってて。
元々顔は悪くなかったし、そりゃモテる
のも必然というか、なんというか。
ふと、唇に指を添える。
まだ覚えてる、冬の寒さも忘れてしまう
ほどに、熱い、情熱的だった口付け。
思い出すだけで、身体中が熱くなってい
く。