【完】キセキ~君に恋した時間~
あの日───私のココロが壊れて、砕け
て、悲鳴をあげた冬のある日。
電話で助けを求めた私に、すぐに駆けつ
けてくれた徹に、色んな思いが込み上げ
た。
ずっと傍にいてほしかった。
ぎゅっと強く抱き締めて、離さないで欲
しかった。
でも、傍に来ないでほしかった。
矛盾してるなんて、自分でもわかってる
けど。でも、優しくされたら、縋ってし
まう。自分が弱くなる。
だけど誰かに頼りたくて。
何かに支えてもらわないと、絶望に侵食
されていきそうで、怖くて。
こんな世界から、抜け出したくて。
少し乱暴にぶつけられた徹の唇が嬉しく
て、私もそれを求めた。
徹からしてくれたことが嬉しくて、嬉し
くて。
好きだ、と思った。