【完】キセキ~君に恋した時間~
そんな徹の呼び掛けに応えなかったのは
、徹の横に、見知らぬ女の子が立ってい
たから。
ちら、と徹を見てから、その女の子に視
線を移せば、その子も私を見ていた。
誰、この子。
これで彼女とか言われたら、私、発狂す
るかもしれない。
そんなことを思いながら、もう一度徹に
目を向けると、何も言わない私を不思議
そうに見ていた。
「……お久しぶり」
「あ、うん……久しぶり」
そう言って、フワッと微笑む徹。
……ムカつく。
そんな微笑み一つで、心がポカポカしち
ゃう自分がムカつく。
「その子は?」
女の子を見ながらそう言うと、徹もその
子に目をやってから、ああ、と呟いた。
「バスケ部のマネージャーの、武野さん
」