【完】キセキ~君に恋した時間~
徹がそう言ったのと同時に、ペコリと礼
儀正しくお辞儀する武野さん。
「た、武野陽子です……っ!」
「倉科美海です」
ニッコリと笑って見せると、武野さんは
すこしおどおどした様子だった。
私と徹を何度も見て、何かを考え込むよ
うにしている。
それから、あ、というような表情になっ
た。
「も、もしかして幼なじみさんですか!
?」
「え?」
「だってその制服、桜庭高校のですよね
?岡田君が、桜庭に頭のいい幼なじみが
居るって言ってたので……」
えへへ、と笑う武野さん。
それから、武野さんの次の言葉に私の目
付きは多分、鋭くなってしまったと思う
。
「彼女とかじゃなくて良かったです」
───なに、それ。