【完】キセキ~君に恋した時間~
第11話 目が離せなくて
「そうだ!お前にこれをあげよう!」
お酒が入ってるらしい父さんが、上機嫌
でそう言って、なにかのチケットを俺に
渡してきたのは、夏休み初日の事だった
。
「え、なにこれ」
「遊園地のチケット!」
遊園地のチケット……って。どこで手に
入れたんだ、こんなもん。
「一人で遊園地とか、楽しくない」
ていうか虚しいだろ。絶対浮くだろ、一
人で。
「誰が一人で行きなって言ったよ!それ
、二枚あるだろぉ~?」
なんか酒が入ってるからか、微妙なキャ
ラ崩壊を起こしてる父さん。
そんな父さんが、ニヤニヤとしながら俺
を見てきた。
「そ、れ、に。カップルだと割引もある
らしいし?」
「はあ?カップルって……」
恋人とか、居ないんですけど。