【完】キセキ~君に恋した時間~




でも、夏の時は、普通に食べていたのに




俺が顔をしかめていたからか、美海はち
ょっと眉を下げて、俺を見た。



「今日はちょっと食欲がないだけだし」



……そんなの、嘘に決まってる。



「……いつもこんな感じなんだろ?」


「───だから……」


「嘘つくなよ」



尚も言い訳をしようとしたらしい美海の
言葉を遮ると、美海はちょっと目を見開
いてから、ばつが悪そうに目を伏せた。



「……最近、食欲が落ちてきて、あんま
り胃の中に入れられないの」


「いつも何を食べてんの?」


「朝は牛乳だけ。お昼は……ヨーグルト
とか、サラダ。夜は……食べられるとき
はパスタとか。でもほとんどジュース」



想像よりも酷い食生活に、唖然としてし
まう。



そんなの、食事なんて言わない。






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