【完】キセキ~君に恋した時間~
幸せそうに口元を緩める磯部。どうやら
彼女とは順調らしい。
「てか明日の試合、楽しみだなー!」
「……ん。だな」
相手は三年生だって言ってたから、相当
強いんだろうけど。もしかしたら、歯も
たたないかもしれないけど。
でも、楽しみだ。
「───岡田君っ!」
あとちょっとで校門をでる、という所で
後ろから呼び止められて振り向くと、武
野さんが立っていた。
ちょっと息を切らしているから、走って
来たみたいだ。
「どうかした、武野さん」
「あっ、うん……!あ、あのね…」
少し、恥ずかしそうにモジモジとする武
野さん。
……どうしたんだろう?
やがて、武野さんは意を決したように顔
を上げた。その顔が、何故だか真っ赤だ
った。